こんばんは!
今日は認知心理学者でありながら、ノーベル経済学賞受賞という偉業を成し遂げたダニエル・カーネマンが書いた本「ファスト&スロー」を読んでみたので(今更ですが…)感想を書こうと思います。
ノーベル経済学賞受賞者が書いた本ということもあり、敷居が高い感じがしましたが、そんなこともなく。
へぇー!なるほど!たしかにたしかに!という箇所が随所にあり、楽しみながら読めました。

ファスト&スロー(上)
~あなたの意志はどのように決まるのか~
章立ては
第1部 二つのシステム(1~9章で構成)
第2部ヒューリスティクスとバイアス(10~18章で構成)
第3部自信過剰(19~21章で構成)
(下)含め5部38章の構成になっています。
序論では、著書が本書の目的や各部の構成(概略)などが書かれている。
本書で私がめざすのは、認知心理学と社会心理学の新たな発展を踏まえて、脳の動きが今日どのように捉えられているかを紹介することである。この分野におけるとくに重要な進歩の一つとして、直感的思考の驚嘆すべき点とともに、その欠陥が明らかになってきたことが挙げられる。
と述べています。
確かにこの本を読んでいて、自分の思考さえ疑ってしまうような事例が紹介されているのを見て、もっと早い段階でこの本に出合っていれば。。と思うことがありました。
2つのシステム
脳の働きをシステム1とシステム2に分けて論じていきます。
「システム1」←自動的に高速で働き、努力は全く不要か、必要であってもわずかである。また、自分のほうからコントロールしている感覚は一切ない。
「システム2」←複雑な計算など頭を使わなければできない知的活動にしかるべき注意を割り当てる。システム2の働きは、代理、選択、集中などの主観的経験と関連付けられることが多い。
まるで、脳の働きを2人の登場人物が出てくるような形で論じているため、読みやすい。

私たちを誘導する?先行刺激(プライム)とは?
興味深いのが、プライミング効果。
プライミング効果の一例
被験者にいくつかの単語のリストを見せ、それを使ってお金に関わる表現を作るように指示する。たとえば「高い/デスク/サラリー/額」。さらにもっと微妙なプライムとして、お金に関係のあるものが室内に無造作に設置された。例えば、モノポリーでつかうおもちゃのお金をテーブルの上に積んでおくとか、PCのスクリーンセーバーとして水に浮かぶ紙幣の画像を使う、といった具合である。
なんと、この先行刺激を受けた被験者は、実験を受けなかったときより自立性が高まったそう。しかし反面、利己心を増長させることになり、一人でいることを好む傾向が強まったようだ。
このプライミング効果に関する例題はいくつか挙げられているが、どれも興味深く、自分の行動を振り返って考えてみたくなる。。
おわりに
第一部のシステム1の働きについての感想を書いてみました。
あらゆる実験の例題から、システム1の「性格」が垣間見れたと同時に、自分の意識についての不確実性を考えさせられる第一部でした。
しっかり読み込めば、人の行動を変えられる可能性も大いに感じます。
気になった方は是非!人心掌握術を手に入ったらどうしますか?
参考:ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? 文庫 (上)(下)セット