新書

人類の未来(AI、経済、民主主義)を読んで

future

まえがきについて

頭の数だけ違う考え方があり、心の数だけ違う愛がある。

ーレフ・トルストイー

とのまえがきで始まる本書。

章立ては

  1. トランプ政権と民主主義のゆくえ
  2. シンギュラリティは本当に近いのか
  3. グローバリゼーションと世界経済のゆくえ
  4. 都市とライフスタイルのゆくえ
  5. 気候変動モデル懐疑論

内容はそれぞれの分野で、仰ぎ尊ばれている権威の5人に対する、インタビュー形式で進められる。混沌とした世界情勢のなか「不確実な未来」を見通すためのビジョンを与えてくれる。

トランプ政権と民主主義のゆくえ

ここではもともと数学者であり、言語学者、政治学者でもあるノーム・チョムスキーにインタビューする。このお方は、生きている人のなかでも世界一の知識人と称されているようだ。イスラム国やトランプ政権が誕生した背景や理由、シンギュラリティやディープラーニングなどIT技術に至るまで、インタビューで回答している。

シンギュラリティとは、人工知能(AI)が人類の知能を超える転換点(技術的特異点)。または、その先の世界のことを言う。物理学分野では、一般的な物理法則が成立しなくなる点を意味しており、重力と空間の曲率が無限大となり理論が成り立たなくなる点であるブラックホールを指す。
アメリカの斜陽や、メディアのあり方、ロシア問題など各国を取り巻く現状を鋭く分析し、今後、人類はどうあるべきといいうところまで踏み込んでいます。本書の中でチョムスキー氏はシンギュラリティの到来に関しては全面的に否定しており、ファンタジーであると述べています。
人類の未来

アメリカは衰退すれども世界一か?

一章の1部はこの題からスタートする。

アメリカの斜陽が始まった歴史などについて語られるが、実はアメリカの斜陽はだいぶ前からすでに始まっているという。

軍事システムや民営化されている健康保険システムなど、アメリカをむしばんでいる国内政策などに関して警鐘を鳴らしている。

トランプはアメリカをどこへ導くのか?

トランプの勝因や、メディアの報道に対する責任、オバマ時代の振り返りなどについて語る。

これだけの知識人と称されているチョムスキー氏でさえ、さすがにトランプの論理的とは言えない行動は予測不可能なようだ。

ISと中東問題

昨年は世の中をかなり騒がせたISと中東問題。

IS誕生の背景にはどんな事件があったのかなど、イラク戦争の話までさかのぼり解説しています。

混迷するシリア情勢や難民問題についても言及。

なぜ戦争をするのか?

ロシアのプーチン大統領や、集団的自営権に関して語られていく。

その中で、日本の安全保障関係の法律が改正されたことに関して、こう述べています。

日本の平和憲法は、完璧でないにしろ、おそらく世界中が見習うべきものです。第二次世界大戦後に生まれた、重要な進展だったと思います。それを崩されていくのを見るのは、残念としかいいようがありません。

やはり、日本の平和に対する信念というのは、他国から見ても見習うべきものなのですね。

テクノロジーの進歩と人類の未来

ここでは「シンギュラリティ」や「ディープラーニング」などのテクノロジーについて語られる。

 

チョムスキー氏はシンギュラリティーやディープラーニングに対し有用性は認めているものの、ポストヒューマンへの発展などに関しては、ファンタジーだと言っています。量的拡大は知性の本質に結びつかない、と。

まとめ

一章はアメリカや、それを取り巻く情勢などを中心に話が進みます。必ず、何かの原因には結果があり、それらの本質を見抜くには深い洞察と知識が必要だと感じました。知は一日にしてならず…でしょうか。。

賢人たちの脳が垣間見れる本書。私にとってはなかなか難しい本でしたが、ためになりました。

また機会があれば続きの感想など、書いてみたいと思います。

 

参考:人類の未来―AI、経済、民主主義 (NHK出版新書 513)